米国不動産投資 アパートメント編

 

1.概 略
米国不動産市場の特徴は、
1.個人の住宅所有が最も一般的(50%)と言われる。
2.不動産は日常生活に大きく関わっている。
3.住宅買い換え(売却)が頻繁―不動産の流動性が極めて大きい。
4.住宅の値上がり(安定した)中長期にわたる個人の資産形成となっている。
更には、継続的な移民流入による“慢性的な住宅供給不足” が指摘できる。

企業による不動産開発が活発で、未曾有の土地があり、低価格での取得が可能となる。
不動産は売却益と運営益(収益物件の所有が基本である。)
亦、税制メリットを有効活用・“買い換え特例”などが一般的である。
アジア・欧州からの投資資金の流入が顕著であり、海外投資家

(投機的色彩が強い株式市場に対して安定した収益を狙う)の注目を集めている。

不動産市場では、“システム化されている不動産取引”が主流で、“不動産屋”から“リアルター”への質の向上が明確となってる。
日本円から国際通貨へのヘッジも可能であり、円高など為替レートによるメリットもある。
但し、米ドルへの交換をしたら、その後は為替リスクは考えず、米ドルのままでの資産形成が望ましい。

 

2A.米国内の不動産市場
広大な米国大陸は日本の22倍の国土(但し、投資地域は限られる)とも言われる。
米国を4分割してみると、
1.東部 地域 (東海岸:ニューヨーク、ボストンなど)
2.中西部地域 (シカゴ、ミシガンなど)
3.南部 地域 (アトランタ、テキサス州など)
4.西部 地域 (カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州など)
に大別できる。中でもサンベルト地域(気候が温暖な地域)の成長が注目される。       
米国は、各地域によって文化や経済面での格差、相違が大きいが、21世紀はアジア地域からの移民動向に連動した経済的、文化的発展に沿った西部地域の成長が注目されている。

2B.南カリフォルニアの不動産市場
20世紀になると、ロサンゼルスを中心とした東西南北地域に移民流入が活発となり南カリフォルニア地域の大きな発展の原動力となった。ロサンゼルスを中心とする地域は
1.西地域: 海岸地域(サンタモニカ、ウエストLAなど)
2.北地域: バレー地域 (新興住宅・産業開発地域 )
3.南地域: 隣接するオレンジ郡、南下したサンヂィエゴ郡
4.東地域: インランド・エンパイアー(サンバルディーノ、リバーサイド郡)
5.北東部: 隣接するネバダ、アリゾナ州へのルート)
注)21世紀前半はアジア系移民の流入が急増―文化的影響が増大すると予想されている。
これに伴って新興住宅開発や(郊外型)工業団地などの開発も活発化している。
一方で、交通渋滞などインフラ問題も拡大する傾向にあり、通勤圏の拡大(更なる東地域への開発)の傾向も進みそうだ。

 

3.アパートメント市場の動向・変遷
21世紀は更なる移民人口の増加―潜在的住宅不足が顕著化している。2020年代にはカリフォルニア州の全人口の40%以上はヒスパニック系となる。一方で、賃貸住宅市場は、今後も安定した需要が見込める。(カリフォルニア州は、全米でも規制が厳しい地域。)

1.1960年以降のアパートメント市場
ベトナム戦争以来の経済の低迷、失業率の悪化で買い手市場。
不動産市場は未整理、年収の3倍程度の価格で誰でも自由に物件購入できた。
2.1970年
買い手市場から売り手市場への転換が始まる。それに伴って価格の上昇が顕著
年収の10倍程度、地域によっては13-15倍程度の売買取引が登場
人種偏見などに対する法律規制が顕著になる。―人種の流入、流失が顕著となる。
3.1980年
不動産市場、とりわけ安定した投資市場としてのアパートメント取引が注目。
テナント保護を目指した法規制(レントコントロール:賃料の上限設定など)が実施
海外(とりわけ日本の)不動産投資資金の流入で市場は加熱、一部地域で価格高騰
4.1990年代
米国内での経済景気上昇、不動産投資資金が流入(REITなどによる)
郊外型集合住宅(中型、大型アパートメント)の開発ラッシュ
移民人口の増加で将来的需要が確実視される
5.2000年代
増加する移民層への住宅供給が更に深刻化する(賃料の上昇)
住宅バブルで住宅価格が2倍に急騰したが2007年に崩壊。
2008年から2010年にかけては不動産市場の低迷が続くと予想。
6.2010年以降予想
慢性的な住宅不足は更に深刻化する。
増加するシニア向け(郊外型)アパート需要に応えた賃貸住宅
2015年以降、富裕層のベイビーブーマー対象の“新ライフスタイル住宅“登場。

4.投資不動産の鑑定・価値

不動産価値は、建築年数よりも年収に注目する。(収益還元法で査定)気候の温暖な
西部地域では建物の耐久年数が長く、通常30年から50年程度の耐久年数が見込める
投資物件では年間収入に対して何倍と言った算定で物件価格を算出する。

建物:家賃収入、副収入(ランドリー、ガラージなど )
設備、エアコン、プール、ガーデン、エレベーター設置など
近隣地域の環境、安全、セキュリティー、買い物、学校への地便さ

事例: 世帯数: 10ユニット
築年数: 10年
タイプ: 2寝室x6 ユニット
1寝室x6ユニット
年収:  12万5千ドル
運営経費: 3万4千ドル
純収益:  9万1千ドル
キャップレート: 7.5%
物件価格: 121万1千3000ドル

参考: 投資物件の査定に際しての基本項目
収入事項:
賃料収入に対して空室率を算定しておく(通常3-5%程度)
副収入としては、ガラージ、ランドリーなどがある。
経費事項:
経費としては、通常水道代は家主負担でそれ以外はテナント持ち。
メインテナンスは年間予算を通して算出したものを参照
3大経費:火災・賠償保険代、固定資産税、電気(光熱)代に注意
16ユニット以上は常駐マネージャーが必要となる。

 

5.投資の仕方
手元資金は最小限に留める (10-20%が目安)
借り入れは最大限を目指す。(借り入れ条件に注意)
OPM(他人のお金)を活用する。 レバレッジ効果を狙う。
事前に収益予想を行い, 想定されるリスクヘッジをシュミレート。

A) 等価交換のテクニック
IRS国税規定セクション1031で投資不動産の買い替え特例を活用
譲渡利益に対する課税で“支払い先延ばし”ができる。
B)FIXER UPPER
不良物件を手直し(修繕し)、賃料収益を改善― 売却益を狙う
潜在(マーケット)賃料を査定する(賃料引き上げ幅を事前に査定する。)
立地条件に注意、ロケーションは変更できない
不良テナントなどの一括入れ替えによる空室損を算定
C)売り手金融
売主から融資をうける、現在のローンの引継ぎなど (オーナー・キャリー)
最小頭金若しくは、ゼロ頭金での物件取得 (AITDローンの提案など)
買い手市場の場合には有利に提案できる。
D)リファイナンス
借り入れ金利の軽減を目指す。低金利時代には常時メリットがあり、検討すべき。
物件の価格上昇でイクイチィーが発生する場合がある。―  余剰資金を修理、新規投資物件に活用できる。
  E)抵当流れ物件の取得
ダウン・マーケットでは売り出し物件のリストに注目・掘り出し物もあり
但し、現状渡しが基本の為、リスクを承知しておく。

6.投資物件の管理・運営
不動産管理はプロの仕事である。 
PM“プロパティ・マネジメント”とは投資不動産の管理、運営。
年間予算案に沿って確実な運営、管理を実施する。
年初に収益予想
物件取得に向けた事前調査・収益予想
運営改善計画・管理計画書作成と実施
不良債権の回収・処理など
物件改善結果の確認

売却に向けた“事前マーケッティング” 税務対策・買い替え物件選定など
本格的な販売作業 “プロ・エージェント(専門業者)との共同作業”

7.税務・相続など
投資不動産の譲渡利益に関する条項
居住用不動産の償却期間
商業不動産の場合

一般的課税項目
相続税 (GIFT TAX)
贈与税 (ESTATE TAX)
固定資産税 (PROPERTY TAX)

米国在住の子息が日本の両親などから生前贈与で住宅購入資金を受けた場合、日本の贈与税は特別非課税枠の適用で非課税扱いとなる。

新日米租税条約により、2重課税の回避を目指す。
一般配当に対して15%、親会社間の配当に対しては10%の源泉徴収税が規定されているがこれの撤廃を目指す。
住宅ローン、社債などの受け取り利子に対する現行の10%源泉徴収税に対する一部0%を目指す。またロイヤリティーなどに対しても0%を目指す。

米国の贈与税の納税義務は贈与者にある。これは日本と逆である。
日本の居住者から米国の居住者への財産移転で米国外の財産が拘わった場合、米国での贈与税は発生しない。
過去5年以内に日本に居住した場合にはダメである。
(かつては、日本の両親が米国在住の子息に不動産を購入して贈与しても日本の贈与税は課税されなかったが、2000年以降は適用できなくなっている。)

共同投資
タックスヘイブンの活用など

注)上記の内容は米国での一般的なケースを対象としており、各ケースによって異なる場合があります。従って各自、専門家アドバイスを受けられる事を提案します。

 

 

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